crystal love
「ええ。今日帰ること・・・
あなたの言った様に
両親には伝えたわ。
・・・恋人と一緒に帰るって。」
「何てゆってた?」
ジェスがいたずらな笑みを
浮かべて、家族の反応を
確かめようとする。
「今週なら大丈夫だって。」
「ああ。俺は来週帰るって
いってあるから。」
私とジェスからのサプライズ。
帰国を決めて到着日を知らせた。
エレナ人の恋人と一緒に戻ると
告げたら、嬉しそうな反面
複雑そうでーーーー
さっきの様に、言われた訳だ。
ジェスが国籍を移したのは
あの事故の直ぐ後だった。
それから3ヶ月程経ったが
彼のバカンス期間に合わせて
帰国した。
私たちが恋人関係になった事は
家族には言っていない。
例え上手くいかず別れても
私たちは、ホストファミリーだ。
私達は自己責任で済む事だけど
やはり、周りは、そうもいかない。
今回、2人で居ることに
お互いが納得できたので
家族へ改めて報告しようという
気持ちになったのだ。
「それにしても、よかったじゃん。
仕事入ってきて。」
「まあね・・・
コツコツやっていくわ。」
ようやく画家として
小さな一歩を踏み出した私は
これから、母国で歩き始める。
「でも、何もかも
これからだーーーー」
ジェスが、穏やかな表情で
そう述べて、笑みを浮かべ、
インターホンを押した。