crystal love
後で返すと、
戸惑い気味に伝えてすぐ、
ボスの通訳につく。

ロバートとジェイドを、
パーティーに招いてくれたという
友人に紹介をすれば、男性は、
ボスとの再会をしばらく喜んだ後
自社の広報担当を紹介したいと、
側にいた女性を呼びにやらせた。


間もなく、
彼女と共に、こちらへやってくる
その男の姿をみて、
血の気が引いた。


やっぱり


あの人だ。


ボスの背中に隠れる様に立ち、
男の視界から外れる努力をするも
彼は、私の顔を見て、
一瞬、表情を明らかに
強張らせる。


その視線は、


左手を
捕らえていて。


それとなく、
左手を背中にまわして、
視線を避けた。


自己紹介と挨拶が
簡単に交わされる中
ボスが、私たちの間に流れる
空気に気付いたようで
それとなく相手を見て
問いかけて来た。

「君達、知り合いかい?」














一瞬、返事につまった私を
一瞥して、彼は、初対面だと
言い切る。


パーティ開始の
主賓の挨拶が始まり、
この何とも言えない場所から
動く事もできなくなってしまった。






男達の輪から
一歩退いた位置に立つ私は、
挨拶を聞いている振りを
決め込んで、なるだけ、彼を
視界にいれないようにしていた。



  










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