crystal love
この声には、
聞き覚えがあって。
ここ、しばらく
毎日聞いてる声。
声のする方向に視線を遣れば、
ジェイドが柱に背もたれ
たっていた。
「君?!・・・コトバ・・・」
奴は、ジェイドが
エレナ語を話すのを見て、
しまったという表情をする。
「ああ。わかるよ。
今の、全部わかったぜ?
そんな顔すんなよ。
周り確かめず、怒鳴りだしたの
アンタだろ?」
ジェイドが、流暢なエレナ語で
サラッと言う。
「その人、俺のエレナ語の講師だよ。
お陰様でこの通りだ。
ほら、ディオナ、行こう。
ハリソンが心配する。」
言って、
あっと言う間に近づき、
私の肩を抱きとって、
彼の拘束から
救い出してくれた。
男前って何をしても
キマルのね・・・
変な感心をしてしまう。
数歩離れたところで、
ジェイドは、歩みをとめて
振り返り、彼に釘をさす事も
忘れない。
「そうだ。
俺、全部聞いてたからな。
お前が、ディオナと他の女に
二股かけたのも。
まあ、忘れてやるから、
アンタも初対面貫けよな。」
そういって。
全く、そつの無いオトコだ。
できない事なんて
ないんだろう。