crystal love
「そのノートは?」

案外、好奇心が強い男だ。
ノートにまで反応した。

「サンプルを集めてるの。
生徒の興味のある話題を
メモしておくの。
例えば・・・
ケイトは食文化に精通してる。
だったら他国の調味料の事なんか
見かければメモしておくのよ。
好きな話題のほうが、
一杯話せるでしょ。」

「なるほどね。
じゃ、次回あたり、
国民性なんかについて
聞けるわけだ。」

「そうゆうこと。」

彼は、失敗作のイラストに
手を伸ばす。

「コンペとか、出してんのか?」

「これはないけど、
他のは、割と出してるよ。
賞なんてかすりもしないけど。」

 
「ふーん。」

なんて、たいして
見もしないくせに、
何気ない感嘆詞をはいて。

「なんか、ディオナらしくないな。
雰囲気が。」

わかったような台詞をはく。

『ディオナらしい』って
何なのよ?

問えば、自分で考えろと
身も蓋もない言葉がふって来て。

「強いていえば、
イメージが、出来過ぎてるって
とこかな。」

「何それ?」


 


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