crystal love
『ハロー・・・』


明らかに、寝起きとわかる
不機嫌な掠れた声が
受話器の向こうで響く。


「あ・・・ハロー・・・

ディオナ・・で、す。」


止まりそうな心臓に堪えながら、
口をひらいた。


『・・・ディオナ?・・・』

心辺りのなさそうな反応。


バッカヤロー


恥ずかしいっつうのっ
自分で依頼した事くらい
覚えてろってばっ!!


『ああ・・・勧誘?』


・・・あ?



・・・あたし


間違えたの?



恐る恐る電話番号を
照合する。


・・・あってる。


「あのぉ・・・・、
ジェイドですよね?」

身分を名乗り、相手が
ジェイドであるかを
確かめた。

『いーや。』

はっ?

思わぬ反応に、パニクってしまう。


『アイツ、まだ眠ってるよ。
寝室で爆睡中。
当分起きないよ。きっと。』


・・・マジ・・ですか・・・

「モーニングコール・・・
頼まれたんだけど・・・」

思わずつぶやけば
電話の相手は苦笑する。
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