crystal love
『ああ、携帯電話、リビングに
置きっぱなしだったんだ。
俺が起こしてやるよ。』

申し訳なさそうに
相手の男性はいう。


いーえっ。
これは、チャンスだ。

そんな事をされては堪らない。
いえ、彼も、たまには
ゆっくり休むべきだわ。

脳内で、天使が
ウンウンと頷いてる。


「待って。起こさないで。
お疲れでしょうから
そのままで。ね?」


『じゃあ、電話番号、教えて?
起きたら、電話させるよ。
今、公衆電話から
かけてくれてる様だし。』

そんな申し入れを丁重にお断りし
電話を切った。


せっかく、ここまで来たのだし
図書館に行って、閉館まで
画集なんかを読み漁っていたけど
とうとう、彼は来なくて、
結局、無駄な時間を過ごしただけ
・・・と、なってしまった。





 
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