crystal love
『ああ・・・まだ
手が震えてるんだけど。』
二人の時は、エレナ語を話す。
この役一ヶ月間のルールだ。
『年寄りをからかうのも
いい加減にしてよね。この子は。』
ため息をついた。
『俺、演技力あんだろ?』
『うん。すごい。
ダメよ。からかっちゃ。』
確かに上手い。
ドキドキした。
彼なら、本当に
叶えるかもしれない。
・・・自分の夢を。
二つのワイングラスに、
琥珀色の液体を注ぎ、
一つを私に渡す。
『無駄な抵抗するからだよ。』
悪びれずジェイドは言う。
心臓に悪いオトコだ。
まあ、一ヶ月の我慢って事で。
『何で、約束破った理由、
聞かないの?』
彼は、グラスを傾けながら言う。
『じゃあ、何で?』
付き合い切れず、そのまま返す。
『夜更かし。今朝の6時に寝た。』
『そう。』
プッツリ途切れた会話に、
ジェイドが苛立ちを見せた。
『ったく会話の下手なオンナだな。
「何してたの?」とか、ないわけ?』
『・・・・・』
コラ、若僧・・・・
いい加減にして。
『・・・何してたの?』
苛立ちを飲み込み再び、
彼の台詞をオウム返しした。
『クラブでオンナ口説いてた。』
『そう。』
バカモのが。
『ウソ。お勉強してた。』
『エライ、エライ。』
『心の篭ってない台詞だな。』
ジェイドは、
すねたそぶりをする。