crystal love
「今日は、追い出さないんだな。」
部屋の扉を閉めながら
彼は、皮肉な言葉を落とす。
「ここにいる間わね。」
二人で、こんな風に
部屋にいるのは、初めてでは
ないはずなのに
妙な空気に違いを
お互い感じてか
同時に苦笑してしまう。
「何かしてた?」
「ああ、昔描いた絵を見てた。」
いつもと違う、雰囲気で
話し出すジェイドに
戸惑いながらも返事をすれば。
「へえ、見せて。」
相変わらず、
好奇心が旺盛なこの男は、
くいついてくる。
「やだよ。」
「・・・どこにいても
同じ返事だな。
ディオナは。」
辟易とした表情で
彼は舌を出す。
「当たり前じゃない。
人間が、変わるわけじゃ
ないんだから。でも・・・」
一瞬、声にだしかけた
言葉を飲み込んだ。
言わない方がいいのかもと
思って・・・。
「でも?」
そんな意図は、気にも留めない
ジェイドは続きを促す。
「ジェス、貴方は。」