crystal love
二人の退室を見送り、
すっかり片付けを終えて
自室に向かう。

階段をのぼり、
吹き抜けになっている
階段ホールの照明を消した。

「ディオナ。」

ゲストルームの扉が少し開き、
ジェイドが顔を覗かせる。

「どうしたの?眠れない?」

「いや。」

彼は、首を傾ける。

「そう?じゃあ
おやすみなさい。」

「なんか、忘れてない?」

・・・え?

彼は、腕組みして
こちらに視線を注ぐ。


「おやすみのキスって
しない?普通。」

金色の髪が、間接照明に
鮮やかに映える。
からかいを含んだ瞳。

「しない」

「頬にも?」

「英語でいう
Cheek TO Cheekはするけど。
それだって、小さな子供とよ?」

本当に、からかうのも
いい加減にしてよね

「じゃあ、それで我慢する。」

少しツマラナイ表情をして
そういうので、声を殺して
笑ってしまう。


大きな子供ね。
・・・まあ、いいか。


「おやすみ。ジェス。」

少し屈んでくれた彼の頬に
自分の頬を寄せて
耳元で囁いた。


 
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