crystal love
「すげー。今日も
完璧なタイミングじゃん。
Morning、エリス。」

注ぎたてのコーヒーカップを
受取ながら、ジェイドが
柔和な笑顔を浮かべる。

「Morning、ジェス!
ぢゃあ、いってきますっ!」

彼女は、バタバタと
部屋を飛び出した。
きっと、バスと一緒に停留所迄
走ってるんでしょうね。


それにしても
我が家って・・・


寛容というか
柔軟というか
何というか・・・

彼が馴染んでいるだけだと
思ってたけど、
こちらも相当、この生活に
とけ込んでるわよね。

そんな事を考えている私を
現実に呼び戻すのは
彼の苦笑だった。

「嵐の様だな。エリスは。」

「そうね。活発だった。」

昔はよく、あちこち
ついて来たものだ。

高等部の教室まで来て、
横に座って授業が終わるのを
待ってたんだから。

彼女は、ずっと絵を描いて、
一緒に帰ろうと、
私を待っていた。

ああ…

あのスケッチブックは

エリスのモノだったと
思い出した。


「ディオナ?」

訝しげに、彼が
私の名を呼んでいて
何度目かの回帰から
現実に戻ってきたのだった。



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