僕は君のもの



…触りたい。



なんて思ったけど口にできるわけもなかった。



「今日はお休みなの?」



「うん。雨じゃ仕事になんねーから。
やることもないし家に置きっぱなしの荷物も欲しかったしでうろついてたら美紀ちゃんにぶつかられたってわけ。」



ぶつかられたって…。


意地悪だなぁ。



「ん?荷物?家に?置きっぱなしの?」



単語ごとに首を左右に傾げる美紀に直ちゃんが笑う。



「俺、年明けから一人暮らし始めたんだよ。」



「へ~。そうなんだぁ。」



どうりで見かけないわけだよね。



2年ちょっと会わなかっただけでこんなに変わっちゃうもんなんだ。




「美紀ちゃんどっか行く途中だったんだろ?引きとめてごめんな。」




直ちゃんは相変わらず優しい。



「全然。ヒマでヒマで死にそうだったからコンビに行こうとしてただけだもん。」




それを聞いた直ちゃんが嬉しそうに笑った。





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