僕は君のもの
「そこ否定しないのかよ。国民的美少女!ま、間違ってねーけどな。」
指摘されて初めて気づく。思わず顔が熱くなった。
「いえ!そんなことないです!!」
「あっはははは!!美紀ちゃん超ウケる。
っていうかその敬語、やめて?あと内野先輩も。なんか気持ちわりー。」
昔と変わらない直お兄ちゃんに美紀はホッとした。
「うん!ありがと。直お兄ちゃん!」
「いや…、“お兄”もやめようよ。なんか恥ずかしい。」
「わかったよぅ。…直ちゃん?」
「え?なんでそこで“直ちゃん”?」
「ちゃんと直お兄ちゃんから“お兄”抜いたよ?」
直ちゃんどころかそこにいた友達にも笑われたことは言うまでもなかった。
「美紀も一緒に座っていい?」
「嫌だよ~ん。」
直ちゃんがそう言いながら少し詰めて場所を空けてくれた。
うん。あの頃と一緒。
美紀はこみ上げる嬉しさを押さえながらあったかいその場所に腰を下ろした。