僕は君のもの
直ちゃんの傍らにお弁当箱が置いてあることに気づいた。
「ここでお弁当食べてるの?」
「うん、そーだよ。」
直ちゃんではなく美紀の隣に座っていた先輩が答える。
「俺、中村。よろしくな!」
笑顔がうさんくさい。女慣れしていそうな態度がなんだか嫌だった。
「明日から美紀もここに食べに来ていい?」
「だーめ。」
「おいでよ!」
直ちゃんと中村先輩の声が重なった。
「中村。余計なこと言うな。」
鋭い直ちゃんの声に頭を垂れる。
いいじゃん。別に。美紀は直ちゃんとお弁当食べたいのに。
「入学早々こんなとこで食べてたら、クラスの子と仲良くなれねーよ?」
今まで黙っていたもう一人の先輩が口を開いた。
首を傾げて直ちゃんを見る。
「ん?あぁ…、こいつは柴。」
中村先輩よりも誠実そうで安心する。