僕は君のもの
お弁当を広げて美紀が一番初めにしたこと。
それは直ちゃんのお弁当箱に卵焼きを入れることだった。
「はい。直ちゃん。」
「おぉ!おばさんの卵焼き久しぶり。」
直ちゃんはおいしそうにそれを食べた。
「なんだよ。それ。俺も美紀ちゃんの弁当食いて~。」
中村先輩が駄々をこねる。
「ガキは食えないの!」
直ちゃんは勝手に美紀のお弁当箱からもう一つの卵焼きをとって口に入れた。
「おい!直哉!先輩のくせに大人げねーぞ!」
「てめーこそ、後輩らしくしろや!」
「あれ?中村先輩って直ちゃんとタメじゃないの?」
先輩が自分の足を美紀の目線に持ち上げた。
あ…。上靴の色が違う。
「美紀ちゃん…。初めに気づこうよ。」
中村先輩があきれた顔で美紀を見る。
「俺様を敬わないお前が悪い。」