僕は君のもの



担任の話が終わると同時に教室を飛び出した。



スカートの裾が濡れるのも構わず大股で歩く。



この雨が雪になったらもっといいのにな。



「ただいま!!お母さん!いる~?フォンダンショコラ作って!…じゃなくて作りたいの!!」




突然の美紀のお願いにお母さんはビックリしながらも笑ってくれた。



男は胃袋さえ掴めばどうにでもなるんだって。



つきっきりで1から10まで作り方を教えてもらう。



たくさんたくさん愛情を込めるんだ。



今日は直ちゃんにこの子の報告をする日。


だけどその前に好きだって告白しないと。



そうしてからこの子の話をしないとフェアじゃない気がするんだもん。



だから目一杯の愛をチョコに注ぎ込む。



出来上がる頃、家中に甘い香りが広がった。



「ごめ…。お母さん。トイレ行ってくる。」




せっかくの乙女ムードもつわりのおかげで台無し。




でもこんなんに負けてちゃこの子に笑われちゃう。






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