僕は君のもの
間の抜けた声がして顔を上げた。
「森先輩?」
耳に開けられた無数のピアス。その一つが太陽に反射して眩しい。
「どうして泣いてんの?」
数回しか話したことがないのに馴れ馴れしく美紀の頭を撫でる。
さすが中村先輩の友達だ。
「失恋しました。」
「ふ~ん。」
うわっ。みんなして軽く流しやがって。
「だったら俺と付き合おうよ。」
森先輩は突然そんなことを言い出した。
美紀はビックリして彼の顔を見つめる。
そっか。この人は美紀を女として見てくれてるんだ。
首元から覗く鮮やかな赤のパーカー。
ねぇ、あなたは美紀のヒーローになれる?
「いいですよ。」
思ったよりも優しい声が出た。