僕は君のもの



明日から始まる春休みに浮かれ気分の教室に大きな声が響く。


「美紀ちゃ~ん。一緒に帰ろうぜ。」


森先輩の出現に教室の中が静まり返る。



「今行きます。」



荷物を整理して教室を出ようとした美紀の耳に聞こえた声。



「ふ~ん。内野先輩がいなくなったら今度はあっち?」



本人は小さい声で言ったつもりみたいだ。


だけど静かな教室は予想外に声が響く。




声を発した人物はやっぱりあの人。


直ちゃん達とランチできなかったことがそんなに悔しいの?



美紀はつかつかとその子に近寄った。


「何?」



「美紀、話しかけないでって言わなかったかなぁ?
妬んでるの?羨ましいの?なんかごめんね?美紀ばっかりいい思いしちゃって。」




何も言えず怒りで顔を真っ赤にするその子に微笑みかけて教室を出た。







欲しいものは手に入らない。



だったら手に入るものは何だって美紀のものにしてやる。







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