僕は君のもの
ようやく学校に行く恐怖心がなくなった頃、新たな事件が勃発した。
「たけしくんがね、美紀のこといじめるの。」
「誰だよ。たけし。」
「同じクラスの子。美紀とお友達が砂場で遊んでると必ず意地悪してくるの。」
「ふ~ん。」
その時、美紀は3年生、直お兄ちゃんは5年生になっていた。
直お兄ちゃんは同級生にからかわれても、気にする素ぶりも見せずに毎日美紀と登校してくれる。
「美紀ちゃんさ、小3で砂遊びなんてしてんなよ。ガキじゃないんだから。」
「美紀まだ子供だもん。
棒倒し、楽しいんだよ?直お兄ちゃんも一緒にやろうよ。」
「嫌だね。」
カタカタとランドセルを鳴らしながら走って行く直お兄ちゃんの後を追いかける。
「待ってよ!」
「いーやーだー!」
だけどね、直お兄ちゃん。美紀知ってるんだよ?
直お兄ちゃんの“嫌だ”はいつも嘘なんだよね。