僕は君のもの
タオルを受け取ると、フローリングの上に座って濡れていた右腕を拭く。
さすがに小さなビニール傘で二人はキツかったみたい。
「家族は?」
「ん?ウチ共働きだから今は誰もいないよ?」
そう言いながらエアコンのリモコンを押した。
涼しい風が吹いて、ジトジトとした不快な空気をさらっていく。
「…って先輩!何脱いでんの!?」
いきなりズボンを脱ぎ出した中村先輩に驚いた。
「美紀ちゃんのエッチ。
誰かさんのおかげで走ったらビショビショになったの!履きかえるくらいいいだろ?」
そのまま美紀に背中を向けて着替えを続ける。
「それに…、俺は森なんかとは違うから。」
いつもと違う真剣な声。
朝見た光景がよみがえる。
気づけば美紀は立ち上がっていた。
「美紀ちゃん!?」