僕は君のもの



「直お兄ちゃん!!」



突然現れた上級生にたけしくんが怯む。



「な、なんだよ!」



「女いじめるなんてカッコ悪いんだよ。」



直お兄ちゃんは楽しそうに笑いながらたけしくんに詰め寄った。



「そんなことよりさ、鉄棒やんねーか?」



親指で砂場の横にある鉄棒を指す。



「なんでだよ!」



「今やった技、教えてやってもいーぞ?」



「本当か!?」



その瞬間、たけしくんの目が輝いた。



二人はあっという間に仲良くなって、鉄棒から高く高く飛び降りる難しい技の練習を始めてしまった。



それから彼らは鉄棒で遊び、美紀はその横で砂遊びをして過ごす。



たまに直お兄ちゃんとたけしくんが一緒に砂場で遊ぶこともあった。







直お兄ちゃんは美紀の中でどんどん大きくなる。



直お兄ちゃんは美紀のヒーローだった。









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