僕は君のもの
それは美紀が先輩とつき合う時に言った言葉。
「そーゆーことだろ?」
「先輩は…美紀と別れたいんだ。」
校庭で誰かが叫んでいる声が聞こえる。
先輩はしばらく黙ったままだった。
「…結構キツイんだよ。この役。」
この役ってどういうこと?
考え込む美紀の横で先輩が勢いよく立ち上がった。
見上げた先輩の顔は逆光でよく見えない。
「ま、片想いがんばれや。」
卒業証書の入った筒で軽く美紀の頭を叩くとそのまま歩き出した。
なんで?
待って!
そんな言葉は頭に浮かぶだけだった。
代わりに違う言葉が口から出る。
「美紀、先輩のこと好きだったから!ちゃんと、好きだったから!!」