先輩(仮)
「で、なに?ここに呼びたしてなんかあんの?」
私に背を向けて相変わらず冷たい言葉が返ってくる
今、行動に移すしかない!!
ぎゅうっ
後ろから崇哉に抱きつく
「え?ちょ、ちょっと!なに?」
崇哉はめっちゃ慌ててたけど気にしない、まさにこれがえっちゃんの言ってた仲直りする方法
「ごめんね?私いっぱい謝るから怒らないで……崇哉と喋れないのはいや…」
「………。」
「きっと、私なんかしたんだよね?バカだからわかんないけど、話してくれたらわかるから言って?」
「………いや、俺の方がごめん」
そう言って私が崇哉のお腹に回してた手の上に手を重ねてくれた
「なんで崇哉が謝るの?」
「だってあれは俺が完全に悪いよ、優莉はなんも悪くない」
「そうなの?ずっと私がなんかしちゃったんだと思ってた……じゃあ、なんで怒ってたの?」
「それは!お前が……やっぱなんでもんない」
「なんでよ、そこまで言ったなら全部言ってよ!」
「いや、ほんともう気にしなくていいよ」
そう言って今度は私を身体から離して崇哉はこっちを向いた
さっきまでとは違って穏やかな雰囲気になったから、本当にもう怒ってないみたい
やっぱりこっちの崇哉の方がいいな
「ほんとにもう怒ってない?」
顔を見上げてもう一度確認する
「…もう、ほんと、怒って…ないから」
なんか歯切れ悪いけど…?
なんて首かしげてたらギュッていきなり抱きしめられた
「た、崇哉!?」
「お願いだからさぁ…他の人には今みたいなこと絶対しないでね!」
「え?私とくになんもしてないけど…?」
「…まあ、いいや」
そのあとにため息が聞こえたのは多分空耳じゃないだろう