先輩(仮)
そして、やってきたコンクール当日
「今日はいままで練習してきた成果を全て出しましょう!」
誰よりも気合の入った声で先生が言う
リハーサルも終えてあとは出番を待つだけになった
私達の出番はお昼休憩のあとで、今はちょうどその休憩時間
館内は飲食できる場所がないので近くの公園でみんなでご飯を食べる事になった
「はぁー、もうすぐだね!私緊張するー!!」
えっちゃんは本当に緊張しているんだろうかという楽しそうな感じだったけど、緊張してたんだ…
「だね、まあでも、とりあえずできることやって楽しんで歌おうよ!」
「お、加納いいこと言うじゃん!楽しむのは大事だぞ!」
当たり前の事だよ、けんちゃん
だって私達が楽しまないと、聞いてる人はもっと楽しくないんだもん!
そんな時私の携帯が鳴った
ディスプレイを見ると相手は誠さんで、電話だったのでみんなの元を離れて電話に出る
「もしもし」
「あ、優莉?今会場着いたんだけどさー、なんかよくわかんなくて、案内してほしいんだけど…」
「誠さんって方向音痴なの?(笑)今どこにいるんですか?」
「んー、どこだろ…?ポストがある!」
ポストかぁ、じゃああそこかな?
「わかりました、じゃあ行くので待っててください」
「ありがとー!ほんと助かるわ!」
世話の焼ける人だなぁ…
電話を切ってみんなのいるところに戻って少し用事ができたと言ってみんなの元を離れた
ポストはたしかここから近かったはず……………あった!
赤いポストが見えて、すぐに誠さんも発見した
「こんにちは、方向音痴さん?」
「!!あ、優莉ー!良かった会えて!言っとくけど別に方向音痴とかじゃないからな!ただ、会場が広いだけだよ!」
「はいはい…」
別に言い訳しなくてもいいのに(笑)