先輩(仮)




「とりあえず早く戻ってあげな?引き止めて悪かったよ、じゃあね」


軽く手をあげて去って行く誠さん。


その後ろ姿を見えなくなるまで見送り、崇哉の元に行く。



「待たせてごめんなさい、先に行っててくれて良かったのに…、えっちゃんたちは先に行ったんですか?」



まだタメ口になりきれず敬語の残る言葉で崇哉に問いかける。



「…あいつらには先に帰ってもらった」


「え?帰っちゃったの!?みんなでご飯でも食べて帰ろうと思ってたのに」



今日で部活最後だったなのになぁ…






「知り合いってあいつだったんだね、仲良いんだ?」


帰り道ずっと無言だった崇哉が、地元の駅に着いてからようやく口を開いた。



「う、うん…」

あまりに唐突に話し出したから一瞬なんのことについて聞かれたのかがわからなかったけど、すぐに誠さんの事だと理解した。


「ま、俺には関係ない話か!」


…なんでそんな言い方するの?


とても冷たくて突き放したような言い方




「そういえばこの前の質問、今日答えるって言ったよね、だからちゃんと言うよ」


待って!今言わないで!

崇哉はなんかいつもと違う!


何か言いたいのに私の口からは何も言葉が出てきてくれない



「俺とお前の関係は…」



聞きたくない!


でも耳を塞ぎたいと思う手さえも動かなくてただ立ってることしかできない



「俺たちの関係は…





ただの先輩後輩だよ」





わかっていたことなのに…



崇哉に問いかけたあの日から、フラれるって…




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