先輩(仮)




3月の演奏会は大盛況で、親、友達から学校の先生、近所の人たちを呼び込み小さい会場ではあったけど満員立ち見が出るほどだった


演奏会が終わると引退会が行われ、先生から卒部証書と後輩たちからメッセージカードなど、他にもコントや替え歌などがあった


会が終わる終盤になると泣き出す人もいた、小学校の時とは変わり中学から高校へ上がるということはきっとかなりの距離を感じているのだろう



俺は涙を流すことはなかったが、とてもお世話になった恩師や行く高校がバラバラな仲間、仲の良かった後輩と別れることは少し寂しかった



お開きになったところで皆がすぐに帰るわけでなく、先輩と後輩が別れを惜しみいつまでも話していた



「ボタン閉めれないんだけど…これじゃあ、俺不良みたいじゃない?」


俺の友達の清水こと、しみちゃんが話しかけてきてその姿を見ると学ランのボタンが全部なくなっていた…



しみちゃんは男の俺から見てもイケメンで同時に可愛い部分もあった、それを部員たちが見逃すはずがなく普段から人気を集めていた


まあ、可哀想ではあるけど当然のことだよな…


ドンマイ、と肩に手を置くとしみちゃんがお前はどうなんだよと聞いてきた






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