先輩(仮)
「だってボタンって特別なものじゃないですか?」
「んー、まあそうなのかな?第二ボタンとかは特にね…」
心をあげるとか言うくらいだし、告白の意味もあったりするからね
「だから言っちゃ悪いですけど清水先輩みたいに全部なくなってたりするのは嫌なんです、あげるとしたら1人、そうしてもらえないと…貰う側としては勇気を出して言ったことなのに他にも持っている人がいると思うと悲しいです」
確かになぁ、彼女の言ってることわかる、けどやっぱり俺には「よかった」に繋がる答えが出てこないんだけど…
「つまりはですね…自分が貰えなくても先輩のボタンを他の誰かが持ってないならそれでよかったってことなんです」
………えーっと、つまりはそういうこと?
俺のことが好きってこと?
って思っていいのかな?
俺の頭がようやく理解したところで、優莉も真っ赤になっていた
けど俺は仲の良い後輩としか思ってなかったので、気持ちには応えなかった
それでも優莉は特別だったから
「第二ボタンはあげられないけど…これやる」
俺は右の袖に着いてるフロントのボタンより2まわり小さいボタンを差し出した
「でも、先輩ボタン残したいって…」
「いーよ、お前にはやる、だけど内緒な?他の奴らにはばれないようにしてな?あげたのお前だけだから」
好きという感情があの時にあったのか自分でも分からないけど、なぜか、彼女にはボタンを持っててほしいと思った。
そして俺の中学時代は幕を閉じた