先輩(仮)



ちょっと待って来たバスに乗り、運よく空いていた二人掛けの座席に座った

バスの座席は狭く密着する身体、優莉が隣に座っている左側がとても火照って感じた


「アレ開けてみよっか?」


「はい、早く開けてください!」


優莉はワクワクっといった感じで俺の手元を見つめる



副賞の包みを開けるとまたさらに封筒になっていてそれも開ける…


……これって…



「○○温泉旅行 ペアチケット…」



1人で見て固まってしまった、俺の代わりに優莉が書かれていることを読み上げた



「先輩、これ…」


優莉の思うことは俺にも理解できる、さすがに2人では行くことが出来ないと思うから困っているのだろう


俺としては2人で行きたいとこだけど…


「あ、でもこれ2枚ありますよ!1枚ずつ持ってればいいんじゃないですか?」


「本当だ」


「それに来年の3月末まで使えるっぽいですよー!」


チケットの裏面を眺めながらそれを読み上げていく


3月末かぁー、その時は俺もう卒業してるなー…


ん?卒業?


「そうだ!これ、冬休みの旅行に使わない?」


「前にテツ先輩となっちゃん誘ってって言ってたやつですか?」


「そうそう!ただで行けるし!ちょうどよくない?」



「いいですね!賛成です!早速ナツにも聞いてみます!」


優莉がそう言って2人とも携帯を取り出したところで2つの携帯がほぼ同時に震えた



また同じタイミングですねって優莉は微笑みながら2人とも携帯に目を落とす


開くとそれはテツからのメールで、なっちゃんと付き合うことになったという嬉しい知らせだった



それは優莉の方も同じだったみたいで


「先輩!先輩!これ!」


と言ってなっちゃんから送られてきたメールを見せれくれた、それに俺も自分の携帯を見せ、優莉は2人が付き合うことになったのを自分のことのように喜んでいた






< 341 / 399 >

この作品をシェア

pagetop