先輩(仮)
ちょっと待って来たバスに乗り、運よく空いていた二人掛けの座席に座った
バスの座席は狭く密着する身体、優莉が隣に座っている左側がとても火照って感じた
「アレ開けてみよっか?」
「はい、早く開けてください!」
優莉はワクワクっといった感じで俺の手元を見つめる
副賞の包みを開けるとまたさらに封筒になっていてそれも開ける…
……これって…
「○○温泉旅行 ペアチケット…」
1人で見て固まってしまった、俺の代わりに優莉が書かれていることを読み上げた
「先輩、これ…」
優莉の思うことは俺にも理解できる、さすがに2人では行くことが出来ないと思うから困っているのだろう
俺としては2人で行きたいとこだけど…
「あ、でもこれ2枚ありますよ!1枚ずつ持ってればいいんじゃないですか?」
「本当だ」
「それに来年の3月末まで使えるっぽいですよー!」
チケットの裏面を眺めながらそれを読み上げていく
3月末かぁー、その時は俺もう卒業してるなー…
ん?卒業?
「そうだ!これ、冬休みの旅行に使わない?」
「前にテツ先輩となっちゃん誘ってって言ってたやつですか?」
「そうそう!ただで行けるし!ちょうどよくない?」
「いいですね!賛成です!早速ナツにも聞いてみます!」
優莉がそう言って2人とも携帯を取り出したところで2つの携帯がほぼ同時に震えた
また同じタイミングですねって優莉は微笑みながら2人とも携帯に目を落とす
開くとそれはテツからのメールで、なっちゃんと付き合うことになったという嬉しい知らせだった
それは優莉の方も同じだったみたいで
「先輩!先輩!これ!」
と言ってなっちゃんから送られてきたメールを見せれくれた、それに俺も自分の携帯を見せ、優莉は2人が付き合うことになったのを自分のことのように喜んでいた