独白-The girl who loved the girl-
Just a Friend
――やべ、コレ可愛くね?

見つけたのは銀色で金属製の、剣とハートのモチーフのストラップだった。



学校帰り、塾へ行く途中。

塾の始まる時間まで少し時間が空いていたので、私はJR稲毛駅にあるペリエのとある雑貨屋に足を運んでいた。



――千夏[ちなつ]と2人で付けたいな。

千夏はクラスの友達で、クールで毒舌な子だ。
眼鏡がよく似合う子で、“眼鏡を外すとプリンセス”が周りからの評判の、凄く綺麗な子。
私と同じく、最早希少種となってきているスカートを上げていない飾り気の無い子。



ためらうこと無くレジまで持って行って、ようやく私は異変に気が付いた。



――何?!
――何で千夏?!
――何で瑛知[えいち]じゃないの!?

瑛知は、陳腐な言葉を使うとすれば、私の“親友”というやつだ。

凄く親切で純粋な子で、“その割に腹黒い”というのが周囲が勝手に付け足した設定の、微天然。
みつあみがとてもよく似合う、昔ながらの女子中生といった感じの子だ。

私は何をするのも瑛知と一緒だった。



――にも拘わらず。



――今回に限って何故に千夏?



その疑問を胸に抱きつつ、私はレジに並んでストラップを購入した。



――まあ良いや、たまには他の子とでも良いよね。

その時は、それ以上考えはしなかった。



――やべ、塾始まる!!

時計を見やった私は、ストラップを鞄に入れて塾まで走った。

不必要なまでに千夏とのペアを意識しながら。
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