双子のあいつら
「藍蘭祭って、あの・・・?」
「あっ、澪さんおはようございます!そうです!あの藍蘭祭です!」

藍蘭祭とは、昔から続く5年に一度ある藍蘭学園の伝統的なお祭り。
学園祭とは別で、藍蘭学園の中学から大学までの生徒達だけで楽しむイベント。
各学年で演劇や舞踊などをして、優秀なクラスには学園長から金一封が与えられる。
そして、噂もある。


『藍蘭祭の夜。
想い人と一緒に学園の鐘を聴いた者たちは
ずっと一緒にいられる。』


昔、藍蘭学園には鐘があったが、それは戦前の話。
戦後には、その鐘はなくなっていて、実際、鐘の音というのは聞こえてこない。
しかし、その噂はたえる事なく今も語り継がれている。
藍蘭生にとっては、かなり人気の高いイベントだ。
その運営は、各執行会が中心となる。
特に、高校と大学の執行会というのは一番忙しい。
だから、主務の竹下 努[タケシタ ツトム]君は焦っているのだ。

「今朝、生徒会室に行ったら藍蘭祭の資料がなくなってたんです!ずっと探してるのですが、無くて・・・」

今にも泣き出しそうな努。

「真二、やっぱり早く学校行った方が良かったじゃない。努君が可哀相よ。」
「なんだと?俺は仕事はしっかりやってる。第一、資料をちゃんと保管しなかった努が悪いんじゃないのか!」

真二の機嫌の悪さはマックスに達した。

「努、藍蘭祭の資料ならここにあるよ。」

スッと茶色の封筒が横から出てきた。
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