鏡面世界
そんな悩んだ顔をしている俺を見て、教授は笑った。

笑ったと言っても、一瞬嫌な笑い顔になっただけだったが・・・。

「神名くん、君は初めて興味を持ったね?」

どうやら、教授の手の上でずっと転がされていたらしい。

「君は単位が欲しかったんだよね? なら夏休み全て私の助手をしてみないかね? 今持った興味を、謎を解決できるかもしれないぞ。 勿論旅費等は私持ちだ。」

「選択肢無しですよね。」

「いやぁ、まるで私が強制してるみたいじゃないか。」

「行きますよ! 行ってやりますよ! で、何をすればいいんです?」

もうこうなったらヤケクソだ。

「ん、まずは来週またここに来てください。 君なら自分で自分を守れそうだから私も安心できる。」

  ?  

「さぁ、また来週! あ、さぼったら単位無いからよろしく。」

教授はそういうと俺を部屋から追い出した。

来週・・・俺にとって吉と出るか、凶が出るか。

この時が教授との本当の出会いだったのかもしれない。
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