Dangereuses tower
「恭一!」

「永瀬君!ごめんなさい!私の…私の為に!」

ハルカと朝霧が俺に声をかける。

勿論声は届いている。

聞こえている。

しかし、俺は反応する事は出来なかった。

意識はしっかりしているのだが、全身を強く打ってしまっている。

立ち上がるにはしばらく時間を要しそうだった。

「少しの間動かない方がいい…」

この抑揚のない声は八戸だろうか。

「無理に動かすと危険な場合がある…様子を見た方がいい」

こういう時、冷静な八戸は頼りになる。

まさに彼女の判断は正しいと思う。

しかし…直後、そうもしていられない緊急事態が発生する。

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