Dangereuses tower
「もっと急いで」

俺の体を支えたまま走る八戸が言った。

その抑揚のない言葉にも、多少の焦りが窺える。

俺を支えて走るせいで、八戸は全速力で走れずにいた。

それ故に、今にも虎に追いつかれそうになっている。

「あっち行きなさいよ!」

ハルカが一時的に立ち止まり、フロア内にあったものを手当たり次第虎に投げつける。

なかなかのコントロールだ。

虎の体に、頭部に、次々命中する。

が、そんな事では怯まない。

それどころか、虎を刺激し、余計に興奮させる要因にしかならない…!

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