Dangereuses tower
不意に聞こえたそんな言葉。

同時に俺はシャッターの向こうへと押し退けられる。

「……っ?」

訳も分からず床に転倒した俺の目の前に立っていたのは、八戸だった。

何と降りてくるシャッターを背にして、向かってくる虎と相対している!

「っ…おいっ、八戸!?」

「……」

俺の呼びかけにも応えず、彼女はその場から動かない。

「まさかっ…!」

朝霧が悲壮な表情で口を塞いだ。

そう、八戸は…シャッターが降り切るまでの間、虎の足止めを買って出たのだ。

自らの命を犠牲にして…。

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