Dangereuses tower
突然耳に届く悲鳴、阿鼻叫喚。

あまりの声に、俺は思わずフロア内…プールの方へと足を踏み入れてしまった。

そこで見たのは、驚愕するしかない光景。

フロア内にある、ドーナツ型の流水プール。

その流水速度が、異常なまでに速くなっていた。

恐らくはこれも、タワー内のシステムによって管理されている筈の流水速度。

だが今は、まるで渦潮を彷彿とさせるほどの速度となって、プールで楽しんでいた客達を飲み込んでいる。

「うぁっ!がばっ!…んごっ…!」

一人の子供が、その流れに逆らいきれずにプールの底へと飲み込まれていった。

当然だろう。

あんな速度、オリンピック選手でも泳ぎきれるもんじゃない。

蟻地獄に引きずりこまれる蟻のように。

子供は水中へと消えていく。

「……!」

見ていられず、俺は顔を背けた。

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