Dangereuses tower
俺とハルカは、しばらく無言のままでエレベーターの様子を注意深く観察する。

おかしな振動も感じさせず、異音もせず、極めて順調に下降を続けるエレベーター。

「…ほ、ほら、御覧なさいよ」

何故かハルカが勝ち誇ったように口を開いた。

「何がシステム異常よ。臆病風に吹かれるのも程々にしなさいよね」

「……」

彼女の物言いには正直カチンときたが、今は無事に階下へと向かえるのが何より嬉しかった。

こんなくだらない口論ができるのも、お互いに無事だからこそ。

とりあえず怪我なく地上に降りられた事に、俺は安堵の溜息を…。


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