Dangereuses tower
「朝霧!」

フロア内のどこにいるのかわからない、その聞き慣れた声の主に向かって叫ぶ。

「ほえ?」

クレーンゲームの筺体。

その陰から、トナカイのような角がピョコッとこちらを覗く。

角のついたカチューシャに、ノースリーブ臍出しミニスカート。

俺がこのアミューズメントタワーの行列に並んでいた時、確かに見かけたコスプレ姿のままの朝霧美琴が、そこにはいた。

「あれぇ?永瀬君に…二宮さん!逃げ遅れたんですか?」

「逃げ遅れたんですかはこっちの台詞よ!」

俺が言うよりも先に、ハルカが大きな声を上げた。

「朝霧さん、こんなとこで何してるのよ!」
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