Dangereuses tower
ハルカの言葉に、朝霧はワタワタと手を振った。

「わ、私は逃げ遅れたんじゃないですよう!バイトとはいえ、このタワーのスタッフとして、逃げ遅れたお客様がいないかどうか、最後まで確認していたんです。そうしたらいつの間にか、私一人になっちゃったみたいで…」

そういうのを『逃げ遅れた』というのだ。

全く、どこまで呑気なんだろう。

「もうここより上には俺達以外誰もいない。朝霧がここに残っていたって意味はない」

俺はハルカと朝霧を促す。

「急いでここから出るんだ。上の階で火災が起きてる。モタモタしてると巻き込まれるぞ!」


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