Dangereuses tower
「でも」

階段の方に向かいながら、朝霧がふと、気になる事を洩らした。

「二宮さんが倉庫を覗いた瞬間にロックがかかるなんて、随分タイミングよくないですか?」

「…どういう事だ?」

俺の問いかけに、朝霧は少し戸惑う。

「まるで二宮さんが倉庫に入ったのを見計らって、誰かが倉庫の扉を閉めたみたいだなって…あ!いや!そんな気がしただけです!気にしないで下さい!」

「……」

朝霧はそう言うものの、確かにそうだ。

55階のエレベーターの停止にしても、ガス爆発にしても、今思えば俺達が巻き込まれかねないような絶妙のタイミングだった。

まるで俺達が危険に近づくのを待っていたような、絶好のタイミング…。

まるで、人為的にシステムの異常が起きているような…。

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