Dangereuses tower
あまり時間をかけている暇はない。

俺とハルカで現在の状況を彼女に説明する。

タワー内のシステムに異常が発生した事、上の階で火災が起きている事、早く逃げなければ火災に巻き込まれてしまう事。

「……」

それらの説明を聞いた後でも、彼女は然したる反応も見せないまま、無表情で棒立ちだった。

何の反応もないのだから調子が狂う。

まるで人形を相手にしているみたいだ。

「とにかく、早く君も逃げた方がいい。よかったら俺達と行動を共にした方が、危険が少なくて済む」

俺は一緒にタワーから脱出する事を提案する。

が。

「待って」

初めて彼女は声を発した。

表情同様の、感情を感じさせない、抑揚のない声…。

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