Dangereuses tower
無表情、無感情。

何を考えているのかわからない八戸。

「…おい、ちょっと」

俺はハルカと朝霧を呼び寄せ、八戸に聞こえないように小声で話す。

「…アイツ…少し気をつけた方がいいかも」

「恭一もそう思う?」

俺の言葉に、ハルカが頷いた。

「え、何でですか?そりゃあ変わった子だとは思いますけど…」

朝霧の方はよくわかっていないらしい。

…そもそもこれだけの騒ぎの中で、今までずっと気づかずに寝ていたというのは不自然だ。

仮に寝ていたとしても、このタワーの従業員が、宿泊フロアに一室ずつ避難を伝えに来る筈。

にもかかわらず、逃げ遅れたというのは少し疑問が残った。

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