オレンジ色の携帯
自分のツッコミに大分落ち込んだけど冷静を保つ。
「あ、はい。覚えてます」
「良かった…。」
呟くように言われた言葉に落ち込みも消え舞い上がる。
俺が覚えていた事が良かった?
嬉しい?
そんなワケないってまた思うけど今はポジティブに物を考えてもいいかもしれない。
「あの、今貴方が使っている携帯は私のなんです。」
言われて携帯を耳から離して見つめる。
彼女の、と言われればそれさえも宝物のようだ。
「電車が揺れた拍子に貴方の鞄に入ってしまって…。声を掛けて出して頂こうと思ったんです。」
申し訳なさそうに落ち込む彼女にどうしようもない嬉しさと面目なさが沸々と湧き上がった。
「えと、それで…返して頂きたいんです。それで、その、学校が終わった後に会えないで、しょうか…?」
「え?」