オレンジ色の携帯
彼女の言った言葉が信じられなくて予想外すぎて言葉が口から出た。
「あ、あれ?学生ですよね?」
「え…あ、はい」
「放課後、忙しいんですか…?」
「いや…忙しくないです」
沈黙。
隣の芳成が謎って顔で俺を見ているのが視線でわかるけど今はそれ所じゃない。
携帯を返すだけと言っても、放課後のお誘い。
もう一度、彼女に逢える―。
口が弧を描く。
引き締めようと思ってもできなくて片手で口を覆った。
「放課後、にどこで?」
「え、来てくれるんですか?」
「携帯…返さなきゃ困るだろ?」
敬語を忘れて返事をしていてもそのことに俺自身気付かない。
「あ…はい。」
照れたような声がして思わず笑顔になった。