オレンジ色の携帯
ふんっと鼻で笑い返す事だけで我慢して俺は人混みに目を向け直す。
ブレザーのポケットに手を突っ込んで中に入ってる携帯を掴み目の前にかざした。
俺と彼女を結ぶキューピットはこのオレンジ色の携帯だな。
眺めながらそう思って即座に照れた。
キューピットって…。
ごまかすようにポケットに携帯をしまう。
「ちょっと!!何普通にしまおうとしてんのよ!?」
否、それは妨害された。
低い女の子の声と腕に。
聞き覚えのあるそれに芳成と振り返ると金髪がいっぱいに広がった。
「………。」
「………。」
隣の芳成も大迫力の金髪に為す術もなく見つめる。
どっちかっていうと茫然だけど。
俺もね。