オレンジ色の携帯
俺はケバい女(理子ちゃん?)から目を離しその後ろから小走りにやってくる彼女を目に捉えた。
少しだけ紅潮した頬にサラサラ舞う色素の薄い髪。
小柄な体に合わない鞄を持って走ってくる彼女はあの日と違って俺のもとに来る。
知らない誰かと話す彼女じゃなくて俺との約束を果たしにくる彼女が。
もうそれが有り得ないくらい嬉しくって顔が緩んで笑ってしまう。
自分が恋にここまで踊らされるなんて考えてもみなかったけど。
今はストンと納得出来る。
彼女への想いは俺を狂わせる―――。