オレンジ色の携帯



「理子ちゃんっ。怒っちゃダメだよ」


息を少し乱して俺の腕を掴んでいるケバ女の腕にそっと触る。


「だってさ、コイツあんたのケータイ普通にポケットにしまおうとしてんのよ!?」


低い声と鋭い目で睨んできた女はさっきより苦手意識してない。


彼女の登場が彼女の友達という肩書きがそれさえも薄めたと思うとちょっと自分に呆れた。


単純すぎんだろ、俺。


少し物思いに耽っているとその彼女が俺を見ていることに遅れて気づいた。


「け、今朝はどーも」


ドモッタ…。


どーもって何…。


何か言わなきゃって思って出た言葉に俺の頭に失望。


でもそんな俺の心情を知らない彼女はクスっと笑って俺に笑顔を向けてくれた。


「どーも、です。」


照れたようにはにかむ彼女はマジで…悩殺もの。








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