オレンジ色の携帯
顔に熱が集まるのがわかってごまかすように携帯を彼女に向けた。
「はい、ケータイどーぞ」
三人で腕を掴み合ってるっていう奇妙な体制のまま差し出せば彼女は驚いたような顔をしてすぐに優しい微笑を見せてくれた。
理子っていう女はバツが悪そうに俺から手を引いて背中を向けてしまった。
「ありがとう」
敬語の抜けた台詞に彼女に更に近づけた気がしてにっこり笑って言った。
「いえいえ、どーいたしまして」
些細な会話に二人してクスクス笑っていると芳成から意味あり気な視線を感じた。