オレンジ色の携帯



彼女を案内しつつ奥に声をかける。


「店主くん来てやったぞー」


しばらくすると爺さんが出てきた。


俺を目を細めて観察してからふむふむと頷く。


「ぬし、また来たか」


「おぅ」


「娘っ子連れてくるとはやるな、ぬしよ」


そう言ったここの店主、夕爺。


本名夕太郎の齢86歳の爺さま



でも実は騎士って店名もこの爺さんが付けて心は若いまんま。


話とかも普通に噛み合うし。


目は悪いけど耳は最高に良いみたいだし大声出さなくて済む。


「うっさい。爺のくせして」


「ぬし、年寄るサダメは大切だぞ」


此処に来てはじゃれ合いのような罵り合いをするけど俺は結構楽しかったりする。


「娘っ子や、いらっしゃい」


顔の皺を深くして孝行爺の顔をする夕爺はマジ和み。


絶対店の雰囲気の根本はこの爺さんにあるね。









< 36 / 76 >

この作品をシェア

pagetop