オレンジ色の携帯



カチャ…と食器を置く音がして顔を上げれば彼女が俺を満面の笑みで見ていた。


トクンとなる胸は失恋ごときに倒されるほど柔じゃないらしい。


苦笑いを隠しながら、俺は今の時を大切にしようと笑顔の彼女に声をかけた。


「どう?」


「すごく美味しかった!」


聞かれるのを待ってましたって言う勢いで感想を言われ少し驚いた。


ここまで喜んでくれるなんて騎士に通った甲斐があったと言うものだ。


全料理食べ尽くしてて良かった…。


彼女は俺の表情を見て恥じらいの顔を覗かせ照れたように微笑んだ。


「そんなに喜んで貰えて良かった。俺、ここの料理制覇してるから」


得意げに言うことでも無いけど彼女の喜ばせてあげられたんだから誇っていい。


そう思って胸を張るように言えばクスクスと笑われた。


…でもそれは不快なんかじゃなくて、なんていうか一緒に笑いたくなるような笑いで


ほんと、魅力的な笑顔。










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