オレンジ色の携帯
けど、楽しい時間はそう長く続くもんじゃない。
「あ、そろそろ帰らないと」
そう響いた彼女の声で至福の一時が幕を閉じた事を悟った。
「もうそんな時間?」
最後の足掻きとそんな質問をするけど彼女は苦笑しただけだった。
「私の家、門限があってそれ過ぎると家に入れなくなっちゃうの」
高校生になって門限とは…。
「高校生なのにね?」
俺の心を読んだかのような切り返しに少なからず表情が変わってしまったらしい。
彼女はそれを見ると笑った。
「やっぱりそう思うよね。でも私も何度も親に頼み込んだんだ」
帰りの支度をしながら寂しそうな顔をするのを見ると失敗に終わったんだろう。