オレンジ色の携帯
「送ってこうか?」
「平気だよ。ありがとう」
一緒にいたいがための誘いはあっさり切られてしまった。
礼までされては食い下がれないし。
「また騎士に連れてきてね。私も全料理コンプリートするよ!」
ふふふと笑った君は手を振って駆けていってしまう。
最後に見た笑顔は輝いていて、俺との約束を律儀にも守ろうとしてくれて、"また"という言葉が俺の全部に響き渡る。
鞄が大きく見えてしまう彼女の後ろ姿が路地から見えなくなった時俺は携帯を手に出していた。